
呼吸器外科
呼吸器外科
当院呼吸器外科は前身の南一条病院時代より呼吸器外科領域の手術に積極的に取り組んでおり、2004年4月の開設以来、2023年3月末までに約8000件の手術を行っています。診療内容では、原発性肺癌を中心として、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、良性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫、気胸その他の胸部疾患の外科治療を現在は、4人のメンバーで行っており、手術件数は、2023年度の手術総数が386件(全身麻酔、局所麻酔を含む)、そのうち原発性肺がんの手術件数は225件と北海道では最多となっています。

原発性肺がんの治療
肺癌の治療方法は「手術」・「放射線療法」・「薬物療法」が主体であり、がんの進行度や患者さん個人の状態によって最適な治療方法を選択します。肺癌を根絶やしにするには手術で取り切ることが最も役立つと考えられています。また、手術前・手術後にこれらの治療方を組み合わせた治療(集学的治療)をすることでより良い治療結果が得られることもあります。
【手術療法】
手術をするにあたり、「安全性」「根治性」そして「低侵襲」の要素を考慮してアプローチ方法や切除方法を決定いたします。例えば、創が小さくても肺の切除量が多ければ、肺機能はある程度損なわれますし、その逆のこともあります。当院では、気胸をはじめとする良性疾患のみならず肺がん手術に関しても胸腔鏡手術を積極的に導入しております。これは従来の標準開胸手術に比べて侵襲が少ないため(低侵襲)、術後の患者さんの回復が早いこと、ひいては早期社会復帰を狙ってのことでありますが、決して胸腔鏡下手術にとらわれず従来の開胸手術で両者の利点をいかした治療を心がけています(根治性と安全性)。
1.胸腔鏡手術
開院当初より低侵襲性を考慮し内視鏡を用いた胸腔鏡手術を導入し、より多くの患者さんへ安全に適応できるよう努めてきました。現在、肺癌手術のうち、80%以上は胸腔鏡を使用した手術を行なっております(表)。ただ、全ての患者さんが適応となるわけでなく、進行度や合併症などを検討して慎重に適応を決定しています。
2.開胸手術
従来の(標準的)手術。
当科で行う開胸手術の多くは10~15cm程度の切開で行う小開胸度手術です。以前は標準的開胸法であった後側方開胸(背中から前胸部まで30~40cmの切開)は近年ではほとんど行うことはなくなりました。
手術内容に関して年代別にみると、毎年一定数の難易度の高い手術が存在しており(表)、道内でも数少ない呼吸器専門病院としての周囲からの期待の表れあると自覚し、当院を受診いただいた患者さんにとって施行可能な最善の治療を提供していきたいと考えています。

切除術式
肺は、右側が3つ、左側が2つの「肺葉」に分けられ、さらに右肺は10、左肺は8の「区域」に細かく分けられます。肺癌の標準的な手術術式は、「肺葉切除+リンパ節郭清」です。腫瘍の局在や大きさによっては2葉切除や肺全摘術を行うこともあります。肺全摘は体への負担がかなり大きいため、気管支形成や肺動脈形成を症例に応じて行うことによりなるべく肺全摘をさけるよう術式を選択しています。
近年画像診断技術の向上とCT健診の増加により早期の小型肺癌が早い段階で発見されるようになりました。これに対して肺機能を温存しながら、根治性も損なわない手術方法として積極的な縮小手術を取り入れています。標準手術である葉切除よりも切除肺が小さい「区域切除」と「部分切除」を腫瘍の局在やCT画像、PET-CT検査での集積程度に基づき決定しています。
進行癌(大きい腫瘍、リンパ節転移の明らかな腫瘍など)の場合には、呼吸器内科と連携して、術前化学療法を行い、病巣を小さくしてから切除を行うといった治療のオプションがあり、慎重に適応を検討しています。
肺がんは手術に加えて術後補助療法などの集学的治療が必要となる場合があります。根治手術を行った患者さんのうち、何割か術後再発をきたし、その際抗癌剤治療等が必要となることもあります。幸い当院呼吸器内科は術前診断は勿論、術後の補助療法に関して全国トップレベルにあり、このため患者さんに対して常に高いレベルの包括的な治療を協力して行っています。

