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呼吸器外科

​呼吸器外科

当院呼吸器外科は前身の南一条病院時代より呼吸器外科領域の手術に積極的に取り組んでおり、2004年4月の開設以来、2022年3月末までに約7200件を上回る手術を行っています。診療内容では、原発性肺癌を中心として、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、良性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫、気胸その他の胸部疾患の外科治療を現在は、4人のメンバーで行っており、手術件数は、2021年度の手術総数が359件、そのうち原発性肺がんの手術件数は224件と北海道では最多となっています。

2021年業務実績

全手術数        

【手術内訳】       

・原発性肺がん      

 肺全摘術        

 肺葉切除術(含2葉切除)

 区域切除・部分切除   

・転移性肺腫瘍      

・縦隔腫瘍        

・気胸          

・腔鏡下生検      ​

359例

224例

2例

177例

44例

19例

7例

45例

19例

図1)年度別呼吸器外科手術症例数の返還.png

(肺生検、リンパ節生検、胸膜生検等)​

原発性肺がんの治療

肺癌の治療方法は「手術」・「放射線療法」・「薬物療法」が主体であり、がんの進行度や患者さん個人の状態によって最適な治療方法を選択します。肺癌を根絶やしにするには手術で取り切ることが最も役立つと考えられています。また、手術前・手術後にこれらの治療方を組み合わせた治療(集学的治療)をすることでより良い治療結果が得られることもあります。

【手術療法】

手術をするにあたり、「安全性」「根治性」そして「低侵襲」の要素を考慮してアプローチ方法や切除方法を決定いたします。例えば、創が小さくても肺の切除量が多ければ、肺機能はある程度損なわれますし、その逆のこともあります。当院では、気胸をはじめとする良性疾患のみならず肺がん手術に関しても胸腔鏡手術を積極的に導入しております。これは従来の標準開胸手術に比べて侵襲が少ないため(低侵襲)、術後の患者さんの回復が早いこと、ひいては早期社会復帰を狙ってのことでありますが、決して胸腔鏡下手術にとらわれず従来の開胸手術で両者の利点をいかした治療を心がけています(根治性と安全性)。

1.胸腔鏡手術

開院当初より低侵襲性を考慮し内視鏡を用いた胸腔鏡手術を導入し、より多くの患者さんへ安全に適応できるよう努めてきました。現在、肺癌手術のうち、80%以上は胸腔鏡を使用した手術を行なっております(表)。ただ、全ての患者さんが適応となるわけでなく、進行度や合併症などを検討して慎重に適応を決定しています。

2.開胸手術

従来の(標準的)手術。

当科で行う開胸手術の多くは10~15cm程度の切開で行う小開胸度手術です。以前は標準的開胸法であった後側方開胸(背中から前胸部まで30~40cmの切開)は近年ではほとんど行うことはなくなりました。

手術内容に関して年代別にみると、毎年一定数の難易度の高い手術が存在しており(表)、道内でも数少ない呼吸器専門病院としての周囲からの期待の表れあると自覚し、当院を受診いただいた患者さんにとって施行可能な最善の治療を提供していきたいと考えています。

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図2)年度別原発性肺癌アプローチ方法の返還.png

肺の切除術式

肺は、右側が3つ、左側が2つの「肺葉」に分けられ、さらに右肺は10、左肺は8の「区域」に細かく分けられます。肺癌の標準的な手術術式は、「肺葉切除+リンパ節郭清」です。腫瘍の局在や大きさによっては2葉切除や肺全摘術を行うこともあります。肺全摘は体への負担がかなり大きいため、気管支形成や肺動脈形成を症例に応じて行うことによりなるべく肺全摘をさけるよう術式を選択しています。

近年画像診断技術の向上とCT健診の増加により早期の小型肺癌が早い段階で発見されるようになりました。これに対して肺機能を温存しながら、根治性も損なわない手術方法として積極的な縮小手術を取り入れています。標準手術である葉切除よりも切除肺が小さい「区域切除」と「部分切除」を腫瘍の局在やCT画像、PET-CT検査での集積程度に基づき決定しています。

進行癌(大きい腫瘍、リンパ節転移の明らかな腫瘍など)の場合には、呼吸器内科と連携して、術前化学療法を行い、病巣を小さくしてから切除を行うといった治療のオプションがあり、慎重に適応を検討しています。

肺がんは手術に加えて術後補助療法などの集学的治療が必要となる場合があります。根治手術を行った患者さんのうち、何割か術後再発をきたし、その際抗癌剤治療等が必要となることもあります。幸い当院呼吸器内科は術前診断は勿論、術後の補助療法に関して全国トップレベルにあり、このため患者さんに対して常に高いレベルの包括的な治療を協力して行っています。

図3)年度別原発性肺癌術式の推移.png

気胸、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍

1.気胸

気胸(特発性自然気胸、続発性気胸)は、何らかの原因で肺に穴があき、胸腔(胸の箱の中)に空気が漏れて貯まる病気です。10~30歳代の若い男性、または70歳代喫煙歴ある男性に多いです。症状は急激に出てくることがほとんどです。なかでも、緊張性気胸(胸の中の圧が高まり心臓を圧迫する状態)は、緊急処置が必要となる危険な状態です。若年者の気胸、再発を繰り返すまたは空気漏れが止まらない、出血を伴う場合などには、手術による治療が必要となります。手術は99%胸腔鏡下手術を行っています。若年者に発症した場合の手術に関しては、術後平均約2-3日での早期退院が可能になっております。

2.転移性肺腫瘍

転移性肺腫瘍(他の部位の癌が肺に転移したもの)の手術適応については、原発部位(もとになっている癌)や腫瘍の個数、腫瘍の増加程度によって、検討する必要性があります。手術を行う場合は、機能をできるだけ温存するよう肺部分切除(区域切除)を基本とし、可能な限り胸腔鏡手術を行っています。

3.縦隔腫瘍·胸腺関連疾患

縦隔腫瘍としては、前縦隔に発生する胸線腫が最も多いですが、他に胸腺がん、胚細胞腫瘍、神経原発性腫瘍など多岐にわたります。疾患ごとに治療方針を検討し決定しております。近年では縦隔腫瘍の一部に対して剣状突起下から1ヶ所の傷で手術を行うこともしております。

所属医師紹介

副院長兼呼吸器外科部長

呼吸器外科部長

呼吸器外科医師

呼吸器外科医師

呼吸器外科担当医表
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