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PET検査

PET検査

PET検査とは

PETとは日本人の死亡率トップを占めているがん。ほとんどのがんを確実に治す方法や特効薬は残念ながら見つかっていません。がんと闘い克服するためには、がんをできる限り早く小さい段階で発見することが最良の方法とされてたいます。 PET(ペット・陽電子放射断層撮影装置)検査は苦痛なく、ほぼ全身にわたって行います。今までの一般的な検査では見逃しやすかったがんも発見することが可能です。また、がんの状態を性格にとらえることにより、がんの患者様にとって重要な再発・転移を早期発見し病期に合わせた適切な治療方針が選択できるようになります。

PET(Positron Emission Tomography)は『FDG』と言う物質(放射性同位元素)を体内へ送り、そこから出る陽電子をカメラでとらえて体の断面像を得る装置です。従来、大学や研究機関での脳の血流や体内のに代謝を研究するために使われてきましたが、ブドウ糖に似た物質にポシトロンを付着させた『FDG』をがん細胞がよく取り込むことが分かってから、多くの施設で患者さんの検査に活用されるようになってきました。  

PETを使ったがん検診

PET検査でわかること

FDGは前記した通りブドウ糖に似た物質で、がん細胞によく集まります。がんは活発に自分の細胞を増やて大きくなるため、たくさんのエネルギーを必要とし、正常細胞の3~8倍のブドウ糖を摂取します。PET検査はこの性質を利用し、(1)他の検査でみつかった腫瘍が『がん』か(2)広がりはどれくらいか(3)再発・転移の有無(4)治療効果はどうか-などを調べます。

 

PETを使ったがん健診

がん検診の有効性の評価には非常に長期間の追跡データが必要なため、まだ有効性を示す充分なデータがそろっていないのが現状です。しかし、全施設でいろいろながんが発見されています。公式に統計を出している施設はすくないですが、発見率は概ね1~2%です。これは受診者100人のうち、1人か2人にがんが発見されていることになります。

 

他の健診と比較すると10~50倍の発見率です。発見されたがんは多岐にわたっていますが、肺がん、甲状腺がんや大腸がんが多く占めます。がん検診目的ににPETの有用性は以下のようになります。既にがんと診断されている方やがんを疑われている方の場合、必ずしも以下の通りになりませんのでご注意ください。

  • PET検診の有用性が高いがん(必ず見つかるわけではありません)

  • 頭頸部がん(鼻や喉のがん)、肺がん、乳がん、すい臓がん、胆のうがん、大腸がん、卵巣がん、子宮体がん、悪性リンパ腫 このうち、肺がん、乳がん、大腸がんはPETよりも制度の高い検査として胸部CT(肺がん)、マンモグラフィ/乳腺エコー(乳がん)、大腸カメラ(大腸がん)が存在しています。また、生理中は子宮体がんの診断が難しくなります。

  • PET検診で写ることもよくあるが、写らないことも多いがん

  • 甲状腺がん、胃がん、前立腺がん、子宮頸がん甲状腺がんには頚部エコー検査、胃がんには胃カメラ、前立線がんには腫瘍マーカー検査、子宮頸がんには細胞診がそれぞれ有用です。

  • PET検診の有用性が低いがん(場合によっては見つかるこもあります。)

  • 食道がん、すい臓がん、腎がん、膀胱がん、脳腫瘍食道がんには胃カメラ、すい臓がんは腫瘍マーカー検査や腹部エコー検査、腎がんは腹部エコー検査、脳腫瘍は頭部MRIが有用です。膀胱がんは頻度が低いうえに単一で十分な精度を持った検査がなく、膀胱がんがん検診はあまり一般的ではありません。(何らかの理由で膀胱がんが特に心配な方は、泌尿器科医にご相談ください)

※なお上記の検査のうちすべてを当院で行っているわけではありませんので、詳細は当院検診センターにご確認ください。

 

PETの弱点1

PETは多くのがんの発見に有効で早期がんを見つけられるケースも多いのですが、残念ながら不得意分野もあります。まず、小さなもの、特に1cm以下の腫瘍は機器の限界で写らないことがあります。従って、超早期がんを見つけることができるというのは過大広告です。 また、がんのできる場所によって、PETによる見つけやすさが大きく異なり、あらゆる検査の中でPETが最も有用ながんがある一方で、PETではほとんど見つけられないがんもあります。PETで見つけにくいがんを重点的に調べるためには、ほかの検査を組み合わせることが必要となります。

PETの弱点2

FDGはがんだけでなく炎症にも集まることがあります。集積部分が本当にがんなのかどうかを判別するためには、ほかの体の情報(熱や痛みといった炎症の有無など)や、ほかの画像などを参考にします。一部の甲状腺腫瘍や大腸ポリープなどの良性 腫瘍にも集積することもあり、これらの判別には専門的知識が必要となります。当院は経験豊富な専門医が診断し、できる限りあいまいにせず判断しますが、どうしても区別のつかないケースが出てくることはご理解ください。

もし、異常がみつかったら

すべての集積が『がん』ではないので、まずは落ち着いて、次に何をしたら良いか医師と話し合いましょう。多くの場合、集積が何を意味しているのか、ほかの方法で確認することが必要となります。PET検査では正確な位置がわからないこともあるので、CT・MRI検査が必要となることもあります。PET/CT検査では簡易的なCTを同時に撮影するので、位置や病気の性質についてのより正確な情報を得ることができますが、さらに正確性を上げるために造影CTなどの検査が必要になる場合もあります。 繰り返しになりますが、すべての集積が『がん』ではありません。異常があったと言われても、落ち着いて医師の話を聞いてください。仮にがんであっても治療可能な場合は多いので、それぞれの専門医に相談し冷静に対応してください。

被ばくは大丈夫?

福島の原発事故以来、放射線の健康被害についての情報が数多く流れました。その中には、医学的にありえないほど危険性を誇張した誤情報も多く、多くの人が放射線のことを冷静に判断できなくなっています。実際には100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでは、健康に影響があるかどうか分からないほど影響は小さいのですが、いずれにせよ放射線は浴びないに超したことはありません。注射の量、体の状態にもよりますが、PET/CT検査ではないPET検査で浴びる放射線は2~4ミリシーベルト、PET/CT検査ではCTの被ばくが加わるため、約10ミリシーベルトです。PET-CT検査は診断精度が高かわりに被ばくが多くなります。当院では病気を既に疑っている方にはPET/CT検査を、人間ドックは従来どおりのPET検査を推奨しています(がんがあるかないかを調べる上では、従来のPET検査でも十分な精度があります)。以上の通り、PET検査やPET/CT検査では少量の被ばくがありますが、PET検査やPET/CT検査の放射線によって健康被害が起きることはありません。

よりよい検査を受けるために

最初に、自分が何を知りたいのかをよく考えてみましょう。他施設で血液検査や胃バリウム検査などをしている方や、簡単な検査で全身を検査してみたい場合はPET検査だけか、腫瘍マーカーを加えれば充分でしょう。PETで見つからないがんがあることは理解しているが、時間がないのでPETだけ受けたいという方もいるでしょう。 しかし、ほかの検査をまったく受けたことがない方、PETで見つかりにくいがんも詳しく調べたい場合は、ほかの検査を組み合わせた方が良いと考えます。喫煙歴が長い、肝炎になったことがあるなど、がんになりやすい因子を持っている方は心配しているがんを調べる検査を加えることも重要です。判断が難しければ、健診担当医師にご相談ください。PETはがん発見に強力な武器となります。正しい知識を持って有効利用し、健康な生活にお役立てください。

FDG-PET/CT検査(悪性腫瘍の場合)について

ブドウ糖と似た性質を持つFDGという物質を使って、ブドウ糖を大量に消費している組織(癌細胞など)の位置を画像にする検査です。CTなど形態を調べる検査と違い「ブドウ糖消費量」という細胞の機能を画像にするので、CTなどでは形から推定するしかなかった組織の良性・悪性の判断が、かなりのレベルで行えるというのが特徴です。また、ほぼ全身を一気に調べることが出来るというのも優れた特徴です。但し、小さすぎる癌や特定の種類の癌の発見には必ずしも有効でないということが分っています。また、脳に隠れて病気が見つけにくい頭部、情報量が少ないうえに調べようとすると検査時間が倍増する脚は当院では基本的に省略しています。

利点

・ほぼ全身を一気に調べられる。

・多くの癌の検出に有効。

・検査の苦痛が少ない。

欠点

・行っている施設が少ない。

・検査時間が長め。

・高血糖すぎると使えない。

(検査当日の空腹時血糖150mg/dL、前後は検査可能200mg/dLに近い場合は画像に影響)

注意事項

・食事は検査6時間前から絶食

・水、お茶(麦茶、ウーロン茶、緑茶)は時間、量制限なし

・糖、カロリーの入っている点滴、注射、IVHは6時間前から中止

・G-CSF製剤は2週間前から中止

特に検出に向いている癌

・頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵癌、悪性リンパ腫

比較的検出しにくい癌

・脳腫瘍、胃癌、肝癌、腎癌、前立腺癌、膀胱癌

場合によって検出しにくい癌

・大腸癌

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